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【対談】京王プレッソイン 石川様

▼アメニティ循環パートナー対談について

この対談では、マイングループが取り組むリサイクル原料化の一環として、使用後のアメニティの回収にご協力いただいている施設様にご登場いただき、アメニティの採用に至った経緯や、運用開始後に直面した課題や得られたメリットについて、弊社企画小玉がお話を伺います。リサイクルの導入を検討されている宿泊施設様にとって、参考になる内容になれば幸いです。


【京王プレッソイン 店舗統括部 客室・品質課/改装課 課長 石川様】

交通アクセスに優れ、宿泊に特化した快適なステイを提供する京王プレッソイン様。現場のリアルな状況や貴重なエピソードまで、じっくりと深掘りしてお話を伺いました。


マイン小玉 : 本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。早速ですが、京王プレッソイン様について簡単にご紹介いただけますか?



石川様 : 京王プレッソインは、京王グループが2001年創業・2002年に展開開始した宿泊特化型ホテルです。都内主要エリアに10店舗を展開しており、すべてが交通至便な立地にあり、ビジネス・レジャーを問わず、都会で多様な目的を持つお客様一人ひとりが自分らしい時間をリラックスして過ごせるホテルを目指します。


マイン小玉 : 施設の運営において、御社が特に大切にされている点をお教えください。

石川様 : 京王プレッソインでは「泊まり心地」にこだわり、清潔な環境や丁寧な対応で、安心してご利用いただける空間づくりに努めています。セルフチェックイン等も開始しており、お客様のペースを尊重した運営を進めてまいります。


マイン小玉 : 施設で行う環境保護の取り組みについて、ご紹介いただける事例があればお教えください。

石川様 : 環境保全への取り組みとして、宿泊時の清掃を3日に一度とするエコ清掃を実施し、リネン類の洗濯による節水や排水負荷の軽減を図っています。また、全客室に節水対応のシャワーヘッドを導入の他、バイオマス素材を使用した歯ブラシや環境対応ボトルの導入、必要な分だけ使用するアメニティ提供、再生可能エネルギー由来の電力の活用など、持続可能な資源利用と廃棄物削減を推進しています。


▼バイオマスアメニティ検討のきっかけと選定理由

マイン小玉 : 弊社のバイオマスアメニティに興味を持たれたきっかけを教えていただけますか。

石川様 : 開発当初から御社のお話を伺っており、先見の明はさすがだと思っておりました。その後、社内で検討を重ね、2022年4月のプラスチック循環促進法の施行に伴い、最も使用数が多い歯ブラシ、次いでヘアブラシを導入しました。


マイン小玉 : 導入前に懸念したことや社内調整で苦労されたことはありますか。

石川様 : SDGsが今ほど一般的でなかった当時は、「それは大手企業がやること」という空気が社内にありました。マインさんから最初にお話をいただいたときも、なかなか理解を得られず、反応は薄かったんです。それでも、打ち合わせのたびに永石さんから丁寧に進捗をご報告いただき、私からも社内トップに共有していましたが、当初は「へえ、そうなんだ」程度の関心でした。

転機になったのは「プラスチック資源循環促進法」の施行です。これをきっかけに社内の空気が一変し、「やらなければ」という流れが生まれ、導入が一気に進みました。さらに、マインさんの舟越社長と弊社社長が、何気なく立ち話をしたことも大きなきっかけでした。その後、社長が笑顔で「マインさんに決めよう」と言い出したんです。まるで暗示でもかけられたかのようで(笑)、そこからは導入がスムーズに進みました。

他社製品も検討しましたが、竹害という課題への取り組みなど総合的に考え、「やはりマインさんの歯ブラシしかない」という結論に至りました。

マイン小玉:社長同士で何を話されたのか…私もすごく気になります(笑)。トップ同士でのコミュニケーションって、距離が近い分、心に響く言葉が生まれることも多いんでしょうね。


マイン小玉:アメニティを選ぶ際に、重要視している所はどのような点でしょうか。

石川様:まずはお客様の使用感と安全性を大事にしています。手に取ったときに、何のアメニティか分かり、使用時に戸惑いや不快感を生まず、機能性・衛生面といった基本的な品質であること。また、運用上の扱いやすさや費用感も選定基準としています。


↑ご使用いただいているバイオマスハブラシ(ID-20)とストレートショートブラシ


▼アメニティリサイクル検討のきっかけと選定理由

マイン小玉 : 「アメニティの回収・リサイクル」と聞いて、率直にどのように感じられましたか。

石川様 : 環境配慮の必要性は理解していたものの、実際にアメニティを回収・再資源化するという取り組みには、現実的な難しさを感じていました。それを仕組み化し実行している点に、共感とともに大きな意義を感じました。


マイン小玉: 弊社とのアメニティリサイクル契約を決めた理由・ポイントを教えていただけますか。

石川様 : リサイクルシステムについても、検討されている段階からお話を伺っておりました。実際に御社の工場に行った際に、将来を見据え、循環型リサイクル事業の中で大きな目標を掲げ、研究や製造への挑戦、そして追及する企業姿勢に共感し、導入を決断しました。

また、リサイクルの仕組みそのものだけでなく、導入時の丁寧なサポートや、現場スタッフの負担を最小限に抑える工夫が契約の決め手となりました。そして、実務面で無理なく継続できる体制が整っている点に信頼を感じました。


▼バイオマスアメニティの導入効果

マイン小玉 : バイオマスアメニティの導入に対する、宿泊ゲストの反応はいかがでしょうか。

石川様 : アメニティについて具体的な質問を受けることは多くありませんが、お客様との雑談の中で「使いやすかった」といった好意的な反応があり、自然に受け入れられている印象です。

正直に申し上げると、プラスチック製品からバイオマス製品に切り替えた当初は、「プラスチックの方がよかった」という声も少なからずありました。しかし、それ以上に「環境に配慮していて良い」という声が多かったです。また、これまでは連泊のお客様に毎日新しい歯ブラシをお渡ししていましたが、バイオマス製品に変更後は、同じ歯ブラシを継続して使い、歯磨き粉だけを利用される方が増えています。

マイン永石 : 京王プレッソイン様にはすでに歯磨き粉をご採用いただいているので、それによって歯ブラシの出荷量も抑えられています。プラスチック削減という面でも効果が出ていますね。ただし、歯磨き粉だけを提供する場合、歯ブラシの品質が悪いと毛が倒れるなどの課題もあるため、ある程度きちんとした品質のものを置く必要があります。とはいえ、今ではこれが「当たり前の時代」になってきたと感じています。

先ほど、切り替え当時、「プラスチックの方が良かった」という声があったと伺い、アメニティを販売している私としてはとても気になりました。

石川様 : お客様からは「悪い」という反応ではなく、「あ、変わったんだね」といった声が多かったように思います。実際に「なぜプラスチックじゃないの?」と聞かれることもありました。

マイン永石 : 当初は、竹パウダーを混ぜたバイオマス製品特有の少し甘い独特の香りがありました。嫌な匂いではありませんが、その印象からご意見をいただいたのかもしれないと思いました。現在は製造工程が改良され、ほとんど気にならないレベルになっているのでご安心ください。


マイン小玉: バイオマスアメニティの導入後、スタッフ様の間で何か変化はありましたか。

石川様 : フロントスタッフや清掃スタッフ共に、環境対応に関する知識と意識が高まったように感じております。導入がプラスチック循環促進法の施行のタイミングだった為、同じタイミングで弊社のSGDsの取り組み内容を明確化できたこと、また、支配人会議の際に、御社の皆様から直接ご説明いただいたことも知識の向上や意識改革に繋がりました。


マイン小玉:支配人会議の際の弊社からのプレゼンで最も記憶に残る説明や言葉があれば教えていただけますか。

石川様 : 「竹害」という言葉が一番印象的でした。私も初めて知りましたし、その場にいた誰も竹で被害が出ているなんて想像していなかったんです。驚きとともに、「それなら竹を活用する取り組みは意義がある」と感じました。

マイン小玉:確かに、京王プレッソインさんのように東京を中心とした施設だと、竹は身近ではないですよね。だからこそ、より新鮮に受け止められたのかもしれません。

石川様 : 「日本でそんなことが起きているの?」という驚きもありました。私たちの竹のイメージは「タケノコがよく採れる」程度でしたが、実際には悩んでいる人がいて、その竹を有効活用する取り組みがある。とても意義のあることだと思いました。


▼リサイクルプロセスへの期待と準備


マイン小玉 : 分別や回収にあたって、事前にどのような準備や対応をされましたか。

石川様 : まずは清掃スタッフにリサイクルの意味や意義の説明と、具体的な回収方のマニュアルを作成しました。その内容をフロントスタッフにも説明しております。

また、お客様ご自身にリサイクルに参加していただけるよう、御社のアドバイスもいただきながら歯ブラシとヘアブラシはゴミ箱に捨てずに、バスルームのコップに立てかけてもらうようPOPを作成いただき、バスルーム内の一番目立つ場所に貼付しました。


マイン小玉 : 回収方法は他にも検証したものはあったのでしょうか?

石川様 : ありましたよ。例えばエレベーターホールに回収箱を置く案もありましたが、うちのホールは狭くてスペースがなくて。あと、チェックアウト時に鍵を返すタイミングで歯ブラシも持ってきてもらう案も考えましたが、「自分の使った歯ブラシを受付に出すのはちょっと…」という声もありました。客室に専用の回収ボックスを置く案も有力でしたが、清掃の手間が増えて清掃費が上がる問題もあって、結局「もともとあるコップを使うのが一番いいよね」となりました。

マイン小玉 : なるほど。色々検討した結果、今の方法が一番現実的で無理なく続けられるという判断だったんですね。

石川様 : はい。永石さんからも「他のホテルではこういうやり方をしてますよ」とアドバイスをいただきましたが、実際にやってみてもこの方法が一番良かったと思っています。


マイン小玉 :  実際に回収が始まって、お客様やスタッフ様からの反響はありますか。

石川様 : お客様から直接ご意見をいただく機会は多くありませんが、バスルーム内のPOPに目を留めたからこそ、コップに立てかけていただく方が多く、関心を持たれる様子は見受けられます。


マイン小玉 :  アメニティ回収スタート後、新たに発生した課題や、改善されたことはありましたか。

石川様 : 回収時に、バイオマスの歯ブラシとヘアブラシ以外の物が混入し、御社に多大なるご迷惑をおかけしております。そのため、清掃スタッフが回収した後、フロントスタッフが異物の混入がないかの確認の徹底、清掃スタッフが間違えて回収しないよう、清掃スタッフ用の回収BOXに写真やイラストをつける等を実施しております。


マイン小玉 :  回収リサイクルを実施に行う現場のリアルな反応が気になっています。開始前と現在で変化などあれば教えてください。

石川様 : 一番渋い顔をされたのは、やはり清掃会社の方々でした。最初は「全部の歯ブラシを回収するのは無理です」と言われ、特にバイオマス歯ブラシだけを見分けて回収するのは難しいと。そこで「これは環境配慮の取り組みなんです」と丁寧に説明し、「環境のために一緒に取り組みましょう」とお願いしました。

最初は「清掃費を上げてもらえますか?」とも言われましたが、私はお金の話よりまず意義を伝えることを優先しました。結果、契約しているすべての清掃会社が協力してくれることになったんです。

導入当初は作業に慣れず分別に苦労していましたが、今では「特に問題ありません」と言ってもらえるようになり、清掃費の増額の話もなくなりました。みんなで一緒に取り組んでいる実感が強まっています。最近では、他の清掃会社さんからも「こうした取り組みは今後当たり前になるでしょうね」という声が多く、業界全体でこの流れが定着しつつあると感じます。


▼今後の展望とパートナーシップ

マイン小玉 : 今後、御社としてはサステナブルな取り組みをどのように広げていきたいとお考えですか?

石川様 : まずは目の前の取り組みを着実に継続しながら、社内外への共有や可視化を通じて理解を深めていきたいと考えています。大きな発信よりも、お客様やスタッフに自然に伝わっていくような広がり方を大切にしていきたいです。


マイン小玉 :弊社とのパートナーシップを通して期待すること、今後の関係について展望があればお聞かせください。

石川様 : 現場の声や運用上の気づきを今後も柔軟に共有し合いながら、より実態に即した仕組みへと進化させていける関係性を期待しています。環境対応が一過性で終わらないよう、継続性を支える伴走者であってほしいと考えています。

また、将来を見据えた研究や製造への挑戦・追求、そして唯一無二のスキーム構築に加え、働く皆様の優しく明るい雰囲気の中で、仕事に誇りややりがいを持って取り組む姿は、とても刺激的で多くを学ばせていただいています。

そのため、これからもパートナー企業様として、ぜひお力添えをいただきたいと考えております。


マイン小玉 : 他施設へ弊社のバイオマスアメニティやリサイクルシステムの導入を薦めますか?薦めるならどんなポイントを強調しますか?

石川様 : いいものは広まってほしいと思うタイプなので、どんどん紹介したいですね。

やはり一番の魅力は“竹”を使っていること。しかも国産で、害にもなる竹を活用して地域の雇用も生んでいる。素材にきちんと「背景」があるんです。

さらに、強度がしっかりしていて使い心地もプラスチックと変わらず、お客様からも「違和感がない」と好評です。

そして何より魅力的なのが、「歯ブラシがまた歯ブラシになる」という循環する“見えるリサイクル”。「これがマグカップになります」と言われてもイメージしづらいですが、「ホテルの歯ブラシとして戻ってきます」と聞くと「おおっ!」となりますよね。お客様にとっても「自分が参加したリサイクルが自分に返ってくる」ことはわかりやすく、納得感があります。これが最大のおすすめポイントですね。

マイン小玉 : ありがとうございます。実は弊社の会長も「何にリサイクルされるのかわからないのは嫌だ」と話しており、「見えるリサイクル」を目指してこの仕組みを作りました。だからアメニティをアメニティとして再生することは、私たちの揺るがない信念なんです。魅力に感じていただけて本当にうれしいです。

石川様 : 本当に「わかる」って大事ですよね。リサイクルの行き先が見えることで「ちゃんと参加する価値がある」と思える。多少コストがかかっても、やる価値のある取り組みだと思います。リサイクルには費用がかかりますが、「何に生まれ変わるのか」が明確だと納得感があります。つい熱く語っちゃいましたけど(笑)。

マイン小玉 : 本当にありがとうございます!そう言っていただけて、私たちも励みになります。


【施設の紹介とPR】

マイン小玉 : 最後に、御社の施設の特徴や今後お客様にアピールしていきたいポイントがあればお聞かせください。

石川様 : 2025年現在、都心の主要エリアに10店舗のホテルを展開している京王プレッソインは本年7月、ご利用頂くお客様に対してサービス提供の価値を高めるため、リブランディングを行いました。具体的には、「都会を楽しむ人に、かざらない時間を」という新たなタグラインと、新キービジュアルを掲げています。さらに、企業の社会的意義である「パーパス」も定めました。『自分のやりたいことや好きなことを都会で実現したい人のそばに寄り添い、そのひと時を「明日への元気」に変えていく』という言葉は、都会を訪れるお客様にとってホテルの時間が"目的"そのものではなく、次の行動へ向かう"合間の時間"だからこそ、その時間を自分らしく、ストレスなく過ごせるものにしたい想いを込めております。「都会を楽しむ人に、かざらない時間を」という新タグラインには、お客様がホテルで“かざらず”に「自分に戻れる場所」を提供し、明日に向けて心身を整え、都会を思いきり楽しむためのエネルギーをチャージしていただきたいという想いが込められています。ミニマムで無駄のない空間設計、適度な距離感で話しかけやすいスタッフ、街を知り尽くしたさりげないサポートを通じて、ホテルで過ごすひとときがそれぞれのお客様の「やりたいこと」や「好きなこと」への活力となるよう、これからも丁寧に寄り添ってまいります。

また、災害対策や衛生管理の強化に加え、エコ清掃や環境対応アメニティの導入など、環境への配慮も積極的に推進しています。多様性を尊重した職場づくりや非対面チェックイン対応など、SDGsの理念に基づき、すべてのお客様にとって心地よいホテルを目指してまいります。

~新たなタグラインと新キービジュアルについてのニュースリリースのリンクはこちら~
https://www.presso-inn.com/assets/pdf/news_release.pdf

~再生可能エネルギー由来の電力の活用についてのニュースリリースのリンクはこちら~

マイン小玉 : 本日は、貴重なお時間とお話をありがとうございました。今後とも末長くよろしくお願いいたします。


対談を終えて(マイン小玉)

リサイクル回収パートナー様との第2回会談では、「都会を楽しむ人に、かざらない時間を」というブランドメッセージにて運営されている京王プレッソイン様にご協力いただきました。

ご担当の石川様は、これまで何度も弊社・福岡遠賀工場に足を運んでくださり、製品の品質だけでなく現場の雰囲気やこだわりまで丁寧に受け止めてくださる、信頼の厚いご担当者様のお一人です。明るくエネルギッシュなお人柄で、お客様やスタッフの方々から信頼されているのが自然と想像できました。

会話の中で、石川様ご自身も他ホテルに宿泊された際、たまたまマインの歯ブラシ回収の仕組みを見かけて「ちゃんと参加しよう」と思い、コップに歯ブラシを立てて帰られたお話も伺いました。こうした気軽に参加できる取り組みは、お客様に「環境保護に貢献できた」という実感を与え、ちょっとした「一日一善」の満足感とともに、ホテルを出た後も気持ちよく過ごせるものだと感じています。

また、今回ご紹介いただいた「シールで案内しコップに立てる」という回収方法は、ボックス設置が難しいホテル様でも取り入れやすい非常に現実的な工夫です。清掃会社様との調整や弊社リサイクルシステムのポイントもわかりやすくお伝えいただき、多くの施設様の参考になると思います。今後もサステナブルな宿泊の在り方を牽引するホテルとして、さらなる展開を心より楽しみにしております。

お忙しい中、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。今後ともぜひ一緒に取り組みを育てていければ幸いです。いつか、各店舗のホテルにも遊びに伺わせてください。どうぞよろしくお願いいたします。

↓京王プレッソイン様 の回収パートナー紹介ページはこちら↓

企画課 小玉
企画課 小玉
2012年入社。以前は外資系ホテルの料飲部を7年務める。 ヒーリングスペースAVA、ゼミド店舗マネージャーを経て、 2020年にマイン統括本部に異動し、企画課として奮闘中。 趣味は家庭菜園と園芸、旅行、集まり事が好き。 3児の母(弊社で3度産休育休取得)

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